ドイツの冬は、とても寒い
でも、こんな空気と、雪に包まれた景色がボクは大好きだ。

本日のスープ

足のケガのリハビリ中だったボクに、若林くんが「気分転換しようぜ」と
声をかけてくれて、ボクは、ドイツにやってきた。
「リーガは大丈夫なの?」
「ああ。とりあえず、今年の日程は全部終了。心配かけて却ってすまないな。
 俺自身も気分転換したくて・・・さ」
「日本に帰らなくて良かったの?」
「なんとなく、こっちにいる生活のほうが長いせいなのかな・・・日本にいるときより
 楽なんだ。岬は、日本のほうがよかったか?」
「ううん。ボクも、いろいろ考え込んじゃっていたから・・・若林くんには感謝してます」

そんなことを話しながら、若林くんの行きつけの店に行き、夕食をとった。
「このスープ、すごくおいしい。それに、体が温かくなるね」
「だろ?ここはスープもそうなんだが、料理が評判でなかなかの有名店なんだ」

食事を終え、帰宅しようと、また歩いた。
考え込んでいるボクに、若林くんが心配そうに覗き込む。
「・・・大丈夫だよ」
考え事をしていた理由は、それから1週間後に理解してもらった。

「・・・うまい。あの店の味・・・再現したんだ」
「うん。何回か失敗したけど、よかった・・・おいしくできた。あのスープ、
 すごく気に入ってたから、どうしても再現したくて・・・」
ボクは若林くんの気持ちがうれしかったのだ。
リハビリ中のボクの気持ちを察してくれて、ドイツに誘ってくれてとてもありがたかった。
一緒に歩くときも若林くんは、怪我をしているボクに、歩幅を合わせてくれていた。
スープはボクのささやかなお礼なんだ。
君のおかげで、また、リハビリがんばれそうだよ。ありがとう、若林くん。
久しぶりに、心のそこから笑った。


ここからは二人 同じ速さで歩いて行こう
これからもずっと 好きな景色に囲まれながら 
いつものあの店のスープに君の笑顔が溶ける
                      

「本日のスープ」song by
STARDUST REVUE








しゃおさまが、ご自身のサイト「ふぁん いん」様の開設1ヶ月記念として
「支えて下さってありがとう。」と、私に素敵な小説をプレゼントして下さいました!
私、何もしてないのですごく恐縮です!ただのいちファンなのに!でも嬉しい!
とても嬉しいので、図々しくも素直に頂戴いたしました。

こちらの小説のイメージとなった曲「本日のスープ」も送って下さったのでですが、
しゃお様の書かれる、爽やかで透明感ある世界にとてもマッチする曲でした。
あまりにも腐女子臭漂う私のサイトにも、爽やかな風が舞い込んだようじゃありませんか。
ここだけ爽やか…!

しゃおさま、ほんと〜〜にありがとうございました!

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